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初夏の日差しですら差し込むことが出来ない、館内の奥部に位置する射撃場に人の影があった。
午前中から昼過ぎにかけて拳銃、猟銃を扱う選手達の査定となっている為、こうして一同会しているのだ 間もなく開始されようとしており、各々自分の銃の手入れや最終確認をしている。 査定は今日で三日目、二日連続で続いた体術系の査定に置ける、判定する当主の疲労を考慮して本日儲けられたのだ。 基本的には各選手 体力を使わないので身体を少し休めるのには都合が良い。 サファイアはそう判断し、此処に組み込むことにしたのだ。 拳銃で二人、猟銃で一人、そして両方という形でシルバーが査定を受ける予定となっている。 一人ずつ仕切り 狙撃主である選手 火薬を使って銃弾を打ち出す為、放たれる音は鋭く力強い。 まともに聞いてしまえば鼓膜を破ってしまう恐れがあるからだ。 しかし困った事にこの状態で審査官であるルビーの下した判定を記録用紙に書き留めなければいけないのである。 耳栓の隙間から聞こえる、彼の僅かな言葉と口の動きを逃さないよう、サファイアにはその隣へ位置取る必要があった。 肩が触れ合うかどうかという近距離に立ち、身体が僅かに緊張で強張る。 『そういえば…ルビーとこんなに近くにおるん初めてじゃなかと??』 寝台 目線は少し上、だが細身ながらもしっかりとしなやかな筋肉がその身を纏っている為、自分よりも一回り大きく見える。 その時だ、何か"よく分からない違和感"を感じたのは。 第六感が叫んでいるとでも言うのだろうか。 初対面の時と明らかに"何か"が違うと感じるのだ。 しかし斜め後ろに位置取る己からは、彼の顔を見ることが出来ない為、表情を確認することが出来ない。 まさかそんな事は…無いと信じたい。 「ルビー、大丈夫とね?」 「何が?」 「何がってアンタ…」 「その言葉、そっくりそのまま返すよ。頼むから僕の足だけは引っ張らないでね?」 微笑んでいるにも関わらず明らかに目が笑っていない。 厭味ったらしいその顔は向けられる度に気に障る。 『何ね、折角心配しとったとに。ふん、どーせ気のせいったいね。』 そう言葉で告げる事はなく、頬を膨らませて厭味とばかりにきつく目を瞑って少しの間舌先を出す。 その表情が可笑しかったのか、ルビーは苦笑を滲ませた。 射撃場に設置された的と、装置を動かす事によって移動する的があり、それを如何に正確に仕留めるか。 個々の射的能力に合わせて査定は行われていく。 拳銃の二人は多くの的を如何に早く正確に打ち抜けるかが重視され、連続した銃撃が続く。 幾ら耳栓をしているとはいえ、これだけの音を聞かされ続ければ、鼓膜が振動しすぎて耳がおかしくなる。 サファイアは聞き逃しまいとルビーの口許を視界に入れつつ、その射撃を観察し続けた。 猟銃の一人は使用目的を踏まえ、動く的を正確に射抜けるかを重視され、的の稼動装置が使われた。 査定の間、ルビーは選手 一通り終わった後、サファイアに向かって査定シートの項目を上から順に評価の結果だけを告げていく。 評価は予め設けられている各項目毎に上から順にS・A・B・Cを付ける段階評価となっている。 淡々と告げられる内容を書き留めるのは容易ではない。 度重なった銃声により聴力が鈍っている耳に対して、評価対象は十数項目に及ぶ。 そして彼はこちらが書き終わるのを待ってはくれないのだ。 一人辺りおおよそ三十分強の間銃を打ち続け、 最後の一人になる頃には本日の査定開始時間から既に二時間以上が経過していた。 残ったのは勿論シルバーだ。 彼の場合はその射的能力の高さ故、査定内容も幅広い。 別の日に弓道とアーチェリーで査定が行われる事になっており、今日は拳銃のみとなっている。 しかし彼の側にクリスタルの姿はない。 通常査定の時は各々の補佐者 「シルバーさん、クリスさんは一緒じゃなかとね?」 「クリスはゴールドに付いている。あっちは査定前の大事な練習試合も控えているからな。 俺達は他の奴らと違って二人の選手 結局の所"射的"に関していえば己との戦いだ。 側に付いていようが居まいが結果がどうこう変わるという訳でもない。 だから何時も査定の時は一人で受ける事が多いんだ。 そう続けられ、選手 「それに、ゴールドは気の散り方が激しい。一度決めた事はやり通す奴だが、誰かが見張っておかないと直ぐにサボるからな。」 「…たはは、成る程とね。」 「まぁ、それを抜きにしても、たまには二人っきりにしてやらないとな。」 「??どういう事とね?」 「……いや、気にするな。」 ボソリと小さく呟かれたその言葉の意味をよく理解出来ず、亜麻色の少女は小首を傾げるしかなかった。 「サファイア、ちょっと手伝って。」 感心している間にルビーが何やら準備をし始めていた事に気付き、慌ててそちらに目を向ける。 駆け寄ると指示を受け、よく分からないままその通りに従う。 どうやら感知装置 不可解な行動にシルバーは首を傾げる。 「ルビー、一体何をする気だ?」 「ちょっとね。シルバー、射的の腕は上がった?」 「…あぁ、まぁ。去年よりは正確さと速さ、双方上がってはいるが…」 「じゃあさ、僕と早打ち勝負してみない?」 「勝負…だと?一体どうやって?」 初めての申し出に些か戸惑いを隠せず、尋ね返した。 施設の設備の関係上、的が制止していようが動かそうが予め的を設置しておかなければならない。 そして設置できる数がおおよそ二十程であり、制限時間を設ける早打ち勝負には不向きな造りなのだ。 「こないだ新しい設備を導入したんだよね。これ、映像投影型のシュミレーションタイプの早打ち機械 制限時間の設定も出来るし、最大四人まで同時に試合 一度試して見たいと思ってたんだよね。 普段の彼からは想像も出来ないほど楽しそうに笑みを浮かべており、返って背筋が凍りそうな感覚を覚えた。 姿だけ見れば新しい玩具 しかし断るという選択肢を選ぶ事は到底出来るものではない。 ――彼の気を損ねればそれこそ状況は悪化してしまうからだ。―― 「ルビー、取り付け終わったとね。」 「じゃあそのジェラルミンケースをそこに出してある机の上で開けて。中に機械が入ってるから配線組んで起動させて。」 細かい指示を出すために少年は一歩また一歩と足を踏み出す。 その途中でシルバーの方に振り返り視線を向ける。 「ね?やるでしょ?」 疑問形ではなく断定的にそう言葉を投げられ、もはや選択肢はないのだとシルバーは思い知らされたのだった。 設置 専用眼鏡 最新鋭の小型電算機 また質量は本物の銃のように作られているが、実弾を使用しない為狙撃した時の反動がない。 少しコツが必要である為、双方に三分間の練習時間を設け、試し打ちを行った。 「感覚は大丈夫かな?」 「あぁ、問題ない。」 「じゃあ、お互い万全って事で依存はないね?」 そろそろ始めようか。 ルビーは目を細めながら薄い笑みを浮かべていた。 この二ヶ月近く一緒に居てサファイアにも分かるようになっていたが、これはルビーが楽しんでいるのと同時にかなり余裕がある時の顔だ。 ――とは言うものの、彼の焦った顔など今まで見たことがないのだが―― と言うことは負ける気は更々ないのだろう。 シルバーにもそれが分かっているようで、少し苦い顔をしているように思う。 最も、サファイアにとってはルビー以上に付き合いの経験が無いため、表情からシルバーの思惑など悟ることなど出来はしなかったが。 小型電算機 専用眼鏡 相手の打ち方を見つつ的を射止めなければ、後方に映し出された的まで正確にその中心を射止める事は出来ない。 勝敗は射止めた的の総数と、的の何処を射止めたかによって振り分けられる点数によって決まる。 早打ち勝負の為射止めた数の方が重視されるが、同数だった場合は点数が高い方の勝ちとなる。 「準備は良い?シルバー。」 「あぁ、何時でも良いぞ。」 「じゃあ、始めようか。サファイア、スタートさせて。」 「分かったったい。」 練習形式 そして『スタート』のボタンをクリックした。 待った無しの一発勝負が始まった。 背後に立つ試験を終えた人員 難易度を一番高い設定にしてある為、次々と新しい的が現れる。 それらは片っ端から打ち落とされていき、消えていくのだ。 その余りの速さに目が追い付かず、見ている者は何が起こっているのかさっぱり分からなかった。 サファイアは持ち前の動体視力で何とか目を凝らして戦況を把握しようとしていた。 両者の打ち落とす速度はほぼ互角といって良いだろう。 的がどちら側に多く出現するかも無作為 抜きつ抜かれつを頻繁に繰り返しているので、どちらが勝っているのかその場に居たものは殆ど把握出来ていなかった。 勝負の時間は五分間。 集中力が途切れた方が負けだ。 そして腕が互角である以上、運の良さも否めない。 勝負に分かれ目が付いたのは残り三十秒に差し掛かった時だった。 組み込まれている方式 無作為 今まで同じ大きさの的ばかりだったのが、大きさの違う――それによって若干的の色も違っている――的が無作為 小さい的の方が大元の点数が高く、そして中央に近ければ近いほど更に高い。 此処でルビーの打ち方が変わったのだ。 的確に点数の高い小さな的ばかりを狙い始め、しかも全て中央を射抜いていく。 相手が打ちやすい領域だろうが関係なく、だ。 しかも先程より若干速度を上げているのか、はたまたシルバーの速度が遅れてきているのか。 ルビーの撃ち抜く速度に対応仕切れず、シルバーは基本の白い的を確実に射抜いていく。 が、ほぼ同じ速度で同じ個数の的を打っているのだ。 的の大きさで基礎点が違う為点数はどんどん離されていき、試合終了の鐘 「そっ、そこまで!28458点対26042点、よってこの勝負、ルビーの勝ち!」 専用眼鏡 「初勝負は僕の勝ちだね、シルバー。」 「そのようだ。流石だなルビー。相変わらずの早打ちだ。」 「正確性だったら君の方が上でしょ?速度は所詮慣れだよ。」 ――打ち落とした的ば全て中心を射抜いとう癖にどの口が言うったいよ。―― 言葉にする事はなかったが、そう思ったのはサファイアだけではないだろう。 その場に居た者は皆開いた口が塞がらず、ただただその光景を眺める事しか出来なかった。 こうして三日目の査定は終わったのだった。 査定期間終了まで、後七日。 アタシニハソノ"姿"ガ見エテイナカッタ 眼鏡 back next close
二番手はシルバーです、彼の査定本当はまだ終わって無いけど多分もう査定シーンはないよww
ずっとさせたかったんです、彼らの早撃ち勝負wwその為にこの話書いたといっても過言ではない^q^ 最後の纏め辺りでスマホに機種変したため、若干文字数が増えちった(ノ∀`) だってKB化された容量表示しかないんだもん、ページ構成タグ含めて14KBオーバーしちったww ……えぇ、小説ページなのに拙宅はこれが割と普通ですがww長すぎww\(^o^)/ |