your force your heart - 7



































目の前の少年が発した言葉、そこに聞き違いがなかったかどうか。
不安と戸惑いを交えた声は微かに震えを帯びて宙に散る。
寧ろその突拍子もない答えに驚きと呆れを覚えたと言ってもおかしくはなかっただろう。
自身に湧き上がった疑念を、少女は口にする。

「あっ…悪魔?」

今確かに、この少年はそう言った。
悪魔だって?この近代文明が発展した世の中に限ってそんなこと、有り得る訳がない。
驚愕の念に憤怒が交じり合った複雑な感情が心の奥底から湧き上がってくるのを感じる。
目の前に確かに"それ"は起こっているはずなのに、何処かそれを信じることが出来ない。
否、信じたくなかったというべきだったのだろうか。

「なっ、そげな冗談ばよすったい!信じられる訳なかとでしょ!!?」
「冗談?そんなこと言ってどうするのさ。ボクは真実を話しただけだよ?」

少女の感情に任せた金切り声には特に驚く風は見せず、紅眼の少年はきょとんとした顔で見つめ返した。
勿論自分たちに出会う人間は皆、驚き呆れ、怒るというのが日常茶飯事である為、特にこの返しが変だという訳ではない。
ただ、自ら悪魔(ボク)の存在を己とは違うものだと認めておきながら尚、 存在(ボクら)の事を受け入れようとしなかった事に意外性を見受けたからだ。
人間という生き物は自らの危機を悟った時、それを真実として受け入れようとしない性質を自ら引き出してしまうと聞いたことがある。
つまりこの少女は無意識に、悪魔(ボク)の存在が自身の危機を引き込む存在であるという事を本能的に察しているということか。
やはり睨んだとおり、彼女は選ばれし聖の存在に違いない。
でなければこれほど悪魔(ボク)の存在をはっきりと認めることは出来ないだろう。
この状況が自らの危険をも孕んでいるというのに、何故かその事よりも高揚感がこみ上げてくる。
少女の持つ聖なる力を自らの物とし、更なる力を手に入れたときの自分の姿を思い浮かべながら。
その感情を押し殺すかのように、うっすらと微笑みを浮かべる。
僅かに細められた瞳には笑みの欠片も浮かばない。

「…それが紛れもない事実だしね。」

少女は思考が錯乱し、瞬時の判断力がまるで追いつかない。
次に気が付いた時には寸前まで"その間"を詰められていた。
瞳と瞳の間は、僅か拳二つ分。
その紅い色にはまるで見るもの全てを硬直させてしまう魔法が宿っているかのように、全ての動きを停止させてしまう。
巡り巡っていた思考が、ピタリと止まる。
少年の細く真白な指が、少女の顎に掛かる。
艶やかな魔の美声が脳天を突き抜けるかのように空間に響いた。

「さて、早速頂こうか。君のその力。」


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前回の更新から何と1年半という暴挙をかましてしまいました、非常に申し訳ないですorz
お陰で前回までの絵柄とはまるで違う物になってますね、色の塗り方なんてだいぶ濃くなってるぜwww
話としてはまぁそれほど進んでないな、ついにルビーがサファイアに触れちゃったぜくらいしかない(笑)
次は多分、ルビーさんの黒さがよく見える絵になるかと(えぇぇ)