確かに今、目の前にいる少年が口にしたのは自分の名前だ。
どういうことだ?
自分の記憶をいくら辿っても、彼とは全くの初対面であるという答えしか導き出せないのに。
そもそも知り合いが尋ねて来るのなら、前もって父親がちゃんとその事を自分に告げているはずだ。
「なっ…なして……あたしの名前を…?」
一体何処で自分の名前を知ったというのか。
少女は固唾を呑んで、目の前の少年をじっと見つめた。
と、その時だった。
今まで彼の高慢な態度に押されて圧倒されていて、その紅い瞳にしか視線が向かなかった視界が、
その疑問を抱くことによって広がった。
「それに…あんた……」
上半身にはピッタリと張り付くように、下半身には動き易そうに布に余裕のある漆黒の衣服。
身体を覆っている面積の割には露出度が高そうに見えるのは、腹部を惜しみなくさらけ出しているその格好にあった。
しかも肌が外気に晒されている割には幾分と白すぎるので、更にそれが強調されている。
頭には衣服と同じような色の帯のついた不思議な形の帽子。
一見すれば銀髪を持つように見えなくもないが、その中には同じく漆黒の髪が靡いているのだろう事が分かる。
問題はそこではなかった。
背丈は自分と差ほど変わらない――ちょっと高いくらいだ――であるはずなのに、明らかに視線の高さが違う。
それだけではない。
少女の目には、少年の背後に黒い翼のようなモノが映っているのだ。
彼の肉体は、地を離れている。
「宙に…浮かんでると……?背中に羽ばみたいなのも、見えるったい……」
錯覚なのか否か、少女には判別出来なかった。
はっきり言える事は、目の前にいる少年が宙を駆けて部屋を渡って来たのだという事実だ。
それに何処か…彼には
人間と同じような"気"が感じられない。
そんな感じがするのだ。
少年は再び笑う。
それも先程とは比べ物にならないくらい、楽しげで凄く不気味な物であった。
少年は薄く唇を開いた。
翼を大きくはためかせながら彼女の視界を埋め尽くすように広げる。
その両腕はまるで迎えるかのように開かれていた。
「それはそうだよ。ボクは
人間(とは違う。」
ボクは"悪魔"だからね…
細められた瞳はまるで炎が灯ったかのように揺らめいた。
それはまるで、獲物を見つけ、歓喜に満ちた表情をする獣達のように。
少女の背筋が凍りつき、その首筋には冷や汗が流れ落ちた。
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今回は色付けで時間掛かる事が分かってたので、BZ曲線(だったと思う)を多様してました(笑)←おい
うん、清書そんなに得意じゃないんですよ(えっ)…あぁ、コマ数少ないのに画面が黒い(苦笑)
1話を完結させた後、2話からしばらくは小説で続き書きます
全部漫画にしたら大分時間がかかるので…;;