黒衣を纏った少年は、薄笑いを浮かべながら少女の問いに答えた。
「ボクの名前はルビー。初めまして。」
口調は友好的なものであったが、その言い方といい表情といい、
裏ではそんな気持ちなど微塵も持ち合わせていない事がはっきりと読み取れた。
鮮血を思わせるような、とても鮮やかな紅。
自分のそれとは全く別種の宝珠が、その目の中で輝いている。
少女の足はまるで凍りついたように床に張り付いてしまって、その場を動く事が出来なくなっていた。
何故これほど嫌な予感がするのだろうか。
その時だった。
腰掛けていたベッドから完全に離れて立ち上がった少年が、軽く跳躍した。
その瞬間、背にたたまれていた漆黒の翼が大きく広がり、しなやかにはためく。
とてもゆっくりとした一凪であったはずなのに、肉体を運ぶその速度はとても素早かった。
あっという間に少女との距離を詰め、目の前に静止を果たした。
こちらに向かって飛んできて、またその一凪で眼前の中空に
凝立したその姿を認めた少女は、
襲ってくる恐怖から逃れようとするかのように、二三歩後ずさって
却立(した。
本当に目を見張る程の一瞬の出来事だったため、言葉をつむぐ事が出来なかった。
そんな少女に、少年は怪しげに語りかけた。
瞳は相変わらず笑っていない。
その端正な顔に浮かぶ笑みは、悪寒のような物を引き起こすものであった。
「会いたかったよ、サファイア…」
その唇で囁かれた己の名を聞いた少女は、大きく目を見開いた。
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本当はルビさんの羽にもうちょっと懲りたかったのですが、
元々の画力もさながら、オエビで描きあげるという点でどうしてもこれ以上出来ませんでした(汗)
あぁ…ふわふわ羽毛の翼が描けるようになりたいなぁ……