自分の部屋は
苧環家の二階の奥にあって。
そして今さっき鍵を使って玄関を開けた訳だから、家には誰もいないはずで。
いたとしてもそれは自分の父親であるはずだから居間に居る事はあるにしても此処にいるわけがないし。
つまり自分以外の"誰か"が存在する事事態がまずありえない事であるはずなのに…
その"影"は自分の真正面にいた。
正確には"座っていた"だ。
影に見えたのは、"彼"の身に纏う衣服が真っ黒だったからで。
なのにきちんと視界に入れてみれば、肌は自分のそれよりも幾分白くって。
ていうかそんな事はどうでもよくって…
何故誰もいないはずの家、それも自分の部屋に"誰か"がいるのかって言う事が問題なのであって!
『だっ…』
少女は一瞬言葉に詰まった。
それは当たり前の事だろう。
今日は一人で夜を迎える、もしくは過ごすだろうと思って帰ってきたのに。
宿題をやった後、夜は一体何をしようかと考えようと思っていたのに。
いざ帰って切れ見れば見知らぬ"誰か"、それも自分と年端の変わらぬように見える少年が部屋にいて。
しかも自分のベッドの上に悠々と座って
寛(いでいたりなんかしたら、誰だって驚くものだ。
今まで親しい友人――イエローとクリスの事だ――を一回か二回入れたことがあるくらいで、
ましてや男子になど家の所在すら教えた事もないはずなのだ。
だのに目の前にいる少年は右膝を立てて肘を支え、顎に手をそえてこちらを見ている。
それも微笑をたたえてじっとこちらを見ているのだ。
ありえない。
一体何処から入ってきたのだ?
そもそも妙に露出度が高そうな奇妙な服を着ている時点で変だろう。
それに何か彼からは"人間離れ"したような雰囲気を感じる。
少女は言葉を失って引っ込んでしまった喉をぐっと飲み込み、やっとの事で声を上げた。
「あっあんたは誰ったい!!いっ一体どっから、はっ入ってきたと?!」
何度も舌を噛みそうになりながらも、少女は精一杯声を張り上げた。
許可もなく入ってきたのなら、彼は不法侵入罪だ。
だが、少年はそれに臆することもなく、微笑を絶やさない。
剽軽(な様の少年は軽い調子で答えた。
「ボク?」
少女の藍い瞳が自分に向いている事を確認した少年は、腰を上げてすっと立ち上がった。
その様があまりに軽やかだったので、少女は目を見開く。
「そっそうったい!!あんた一体何者と?!」
更に強い口調で怒鳴り声に近い
声気(で言う。
その様を見ていた少年は至極楽しそうな笑みを浮かべた。
少女が自分の姿を認める事が出来た事。
それが何よりの証だ。
紅い瞳が歓喜の色に満ちた。
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ついに悪魔ルビくんとごくごく普通の少女サファ子のご対面〜♪
この話のルビくん、鬼畜要素ムンムンですね(笑)
これがどう変わっていくのかは、また物凄く先の話なのですが…
コマ数が少なかったせいか、文章は差ほど長くならなかったですね
ていうか展開がこの辺りは遅いんですよね…コマ同士の(苦笑)