大空を翔る黒い姿が、音を立てることなく翼をはためかせた。
下界に広がる、彼からすれば酷く滑稽な景色はいつもと何ら変わらなかった。
「よくもまぁこんな所に住んでるものだね。人間って生き物はよく分からないよ。」
彼が暮らしていた魔界にはあまり建物というものは存在しなかった。
広い草原のようなところに木造の小さな家が点々としていたり、広大な黒い森が広がっていたり。
その中で魔王という、魔界で一番偉い存在が住まうところだけが大理石で作られた巨大な城を築いていただけであった。
情景はこちらの方が輝いているが、向こうの方が圧倒的に自然に近い姿であった。
彼はそんな造り出された空間で生きる彼らに辟易したのだった。
そんな時だ。
ふと視界に妙な光が見え、聖なる力を感じた。
自分が進んでいる先…それもすぐ近くだ。
「ん?あれは…」
視線の先にいたのは、この世に生を受けてまだ十数年にであろう少女たちの姿であった。
数はここから見ても分かる。
先ほど感じた力は、その中の一人から発されていたようだ。
普通の人間とは明らかに違う強さ。
徐々にその力の端が視界にも現れてくる。
「強い
精力のオーラが見える。」
そう、見えるのだ。
勿論、生きとし生ける者は皆
精力(を持っている。
そしてそれは漠然と感じることはあっても、その存在は決して見ることは出来ない。
彼がそれを見ることが出来るのは、この世界の者ではないからである。
だが、彼はこれ以上にないほどの感動を憶えていた。
見えるといっても、目で見ているわけではない。
正確には心の眼で"視える"のだ。
自分の持つ魔の力に反応しているから感じる、という
理屈(なのだ。
そして彼の力はそこらにいるような魔の存在と比べても遥かに強い。
そんな彼の眼に視えるということは、その力が並大抵のものではない事を意味しているのだ。
まだ遥か彼方にいる、一人から。
「あの子から…だ。間違いない。」
明るい茶色の、ふわふわと軽い髪の少女。
頭の後方で一つに結い上げている、髪の長い少女。
笑った口元からは八重歯が覗いている。
その少女の周りだけに、強い光が見えるのだ。
よもやこんなに早くに見つかるとは…
少年は目を細め、口元をニヤつかせる。
赤い舌が、唇をなぞる。
「見つけた……ボクの
供給源(。」
強くはためかせた翼から、漆黒の羽がハラリと落ちた。
優雅に舞いながら、黒い光は地に堕ちる前にふわりと消えた。
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頑張ってオーラを表現してみたのですが、見えますでしょうか…?
もう少し濃い目に残しておいた方が良かったかなぁ〜と今更ながら思います
ちなみに、今回の制作時間を公開するとですね、5時間50分弱…ほぼ6時間ですな(笑)
前回が6時間20分弱だったので30分くらいは時間短縮に成功したようです
それでも十分長いですけどね!!