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「…っとと、うわっ!」
「ズッ!ズズ〜!!(何やってるんだよZUZU!!)」 「そんな事言ったって〜この靴走りにくいんだもん…ってあぁっ!」 ドシャッ 乾いた音が背丈の低い草が生い茂る荒野に空しく響いた。 change-2白い不思議な帽子を被った少年が何にも無い平坦な道にいた。 それも不自然な格好でうつ伏せになってだ。 自身の加速装置つきランニングシューズの自己制御が出来なかったせいで、そりゃもう派手に転倒したのだ。 これでよく額のかすり傷だけで済んだものだと感心できるほどである。 それは恐らく、今この身体の持ち主が獣であったことによるのかもしれない。 のんきな性格をしているとはいえ、彼も一応ポケモンには違いないのだから。 だからこそ余計に腹が立つ。 自分はまだ慣れない身体で"自分"にしがみつく事しか出来ないのだ。 少年の頭には青い獣が必死に四肢を踏ん張って、その場を乗り切っていた。 「ズズ〜ズッ!ズズ〜!!(ほら、何時までも寝てないでさっさと歩いて!!)ズズズ〜ズ〜!(早く次の町に行かなきゃいけないんだから!)」 「ふぇっ…分かったよルビーくん。」 少年はゆっくりと身体を起こして立ち上がる。 だが元々四つんばいで歩いていた"彼"は立ち上がった瞬間にまたふらっとよろけてしまう。 「うわっ…っと……やっぱり二本足で歩くのには慣れないよ〜ルビーくん、本当にこのまま行くの?」 「ズッズ〜。(当たり前だろ。)」 「でも、ぼく達今入れ替わってるんだよ?このまま先に進んだら何が起こるか分からないし…第一どうやったら元に戻るのか分からないのに…」 「ズズズッズッズズ〜ズズズズッズズッズ〜?(やっと次の町でコンテストが開かれてるのが分かったのに、こんなとこで立ち止まってなんていられないだろ?)」 「そりゃそうかもだけど…」 「ズッズズズッズ〜ズズッ。(とにかく後のことは行ってから考えるんだ。)」 身体が入れ替わったことによって今ポケモンとなっている少年ルビーは、"自分"になっているZUZUに強い口調で話す。 反対にいつものんきで何となく気が弱いZUZUは、自分の主のある意味勇気のいる行動に感心しつつ、 それを実行する自分に自信が持てずにあたふたしている。 姿形は変われど、結局見た目がおかしいだけの主従関係が成り立っている光景は正に奇妙な様であった。 「ズズズッズズ〜ズッズズズズッ!(それに急がないとあの子に先を越されちゃうじゃないか!)」 だが、結局は意地の張り合いの結果に過ぎないことのようだ。 『本当に何も起こらないといいんだけど…』 "ZUZU"の姿になってもその意思を決して曲げない主を、"少年"は心配そうに見つめていた。 荒野を何とか走り抜け、昼過ぎには光が遮られて暗くなっている森に到着した。 次の町に行くには、少々荒っぽいがこの森を抜けるしか方法はない。 幸い、人が通る道は踏み固められて白い道が出来上がっているので、道なりにまっすぐ行けば夕方までには着くはずだ。 「ズズッズズズ〜ズズッ。(さあ、今日中に次の町に行くからね。) ズ〜ズズズズッズズ〜ズッ。(こんなところで野宿だなんてイヤだし、頑張ってくれよZUZU。)」 「うっ…うん。」 慣れない身体で必死に駆けてきたので、"彼"は汗だくだった。 肩に乗っていたはずの"ミズゴロウ"も何故かくたくたになっている。 人間同士、ポケモン同士で入れ替わっても、基本的な暮らしを大きく変える必要が無いため比較的楽なのだろうが、 生憎彼らは全くの異種族。 全てにおいて勝手がほどほど悪いので、移動するだけで一苦労だったのだ。 森の道は曲がりくねっていて木々も沢山生えているので、二人は歩いていくことにした。 勿論、疲れて走れなくなっていたのかもしれないが。 「でもルビーくん、このまま本当に戻れなかったらこれからどうするの?」 「…ズズズッズズッズ〜ズズズズッズズズッズズズ〜。(…とりあえず方法が見つかるまでこのままでいくしかないね。)」 「え〜!無理だよっ!ぼくルビーくんみたいに服作ったりアピールさせたり出来ないもん!」 「ズズッズズズズッズ。(成せば成るだよZUZU。)ズ〜ズズズッズズッ(何とかなるよ多分。)」 「そんなのんきなこと言わないでよぉ…」 「ズズズッズズ〜ズズズ〜ズズッ。(大丈夫だよ、随分この身体にも慣れてきたし。) ズズ〜ズズズズッズズズ〜ズッズズッ。(第一そんなことばっかり考えても仕方ないじゃないか。)」 「そりゃそうだけど…」 「ズズズッ!ズズッズズ〜ズズッズズズズッ。(とにかく!父さんとあの子に見つからなければいいんだよ。)」 『ぼくの経験だと、そういうときに限って出会っちゃったりしちゃうんだと思うんだけどな…』 ZUZUは自分の姿になっている少年の言葉に不安を感じながら、道を歩いていく。 その時だ。 遠くのほうで何やら言い争っているような声がした。 「ちゃも!ちゃもちゃ〜も〜!」 「あっうん、分かってるよ…っ分かってるったいっ!」 声の主は多分少女だ。 トーンが高い。 それにどこかで聞いたような声だ。 「ちゃも〜ちゃもちゃもちゃ〜もっ。」 「大丈夫だ…っ大丈夫ったい、だからこうやって人気のない森を通って来たんだか…」 「ちゃもちゃもちゃ〜もっ!!」 「あっ!ごっごめん!」 「ちゃ〜も〜ちゃもちゃ……っ!」 「どしたの?サファ…っ!」 必死に言い争っていた少女と橙色の獣が、後方からやってきた存在に気が付いた。 その相貌を確認した両者――特に互いが連れていたポケモン二匹――が驚愕の顔に満ちた。 「……。」 『どっどうしてっ…』 「……。」 『なっなしてっ…』 あの子(あいつ)がここにいるんだよ!?(いるったい!?) …つづく? back... next... close
あっ…早速前回言ったこと破ってるよ(笑)
いや、書いてみたら実は予定していたとこまでいかなかったというのが正しいんですけどね(苦笑) そろそろ僕が何をしようとしているのかが分かってしまったかも知れませんね… このお話は1/21付けで一言メルお礼小説としてupしていました |