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一瞬沈黙が走った。
よりにもよって一番会いたくなかった相手に出くわしてしまったのだから、当然っていえば当然なのだが。 目の前に起こった事が信じられないとでも言うかのように、二人と二匹は固まってしまった。 『どっどうしよう…っ!!』 『どっどうするったい…っ!!』 今自分達はとても複雑な状況にあって、 しかしそれを今目の前にいる相手が理解などしてくれるはずがないじゃないか。 そんな思考ばかりが巡っていた。 『やっぱり会っちゃったじゃないか。』 『やっぱり会っちゃったのね。』 顔面蒼白で頭上で固まっている主を気にしつつ、二匹の相棒は肩を落とした。 change-3一瞬言葉を失ってしまったが、何時までも黙っているわけにはいかない。 というより、ここは上手く誤魔化しきる方が得策だ。 常のボクとあの子なら出会い頭にすぐさま喧嘩をしているに違いないのだから、この間は明らかに不自然だ。 『ズズズッズズ〜ズズッ!(こらZUZU、何黙ってるんだよ!) ズズ〜ズズッ?ズズズズッズズ〜ッ!(今君は"ボク"なんだよ?しっかりするんだ!)』 『あっうん、ごめん。』 小声で少年とミズゴロウがやり取りしている中、少女とアチャモの方も何やら小声で話し合っていたようだ。 だが、二人にとっては今相手のそんな様子を気にしている場合ではなかった。 躊躇いがちにだが、ZUZUはルビーを演じ始めた。 「やっ…やぁ、キミか。こんなところで何してるんだい?」 「えっ…あっ…アンタこそ、こげなとこで何しとると?」 またもや沈黙が走る。 互いに同じ事を考えていて、同じ質問で返されて、話題を振ってくれる者がいなかったからだ。 少年と少女に焦りの色が見えた。 『ズズズ〜ズズズズッ!ズズ〜ズズッズズッ!!(こら、何してるんだよ!ちゃんと言い返して!!)』 『ふぇ〜そっそんなこと言われたってぇ〜。』 気の弱いZUZUにしてみれば、主である少年を演じるのはなかなか辛い。 もし此処で向こうがいつものようにガミガミと言ってきたら、恐らく勝ち目はないだろう。 ミシロを旅立った時のあの喧嘩を思い出せば、絶対に無理だと思わざるを得ない。 「えっ…ぼっボクはこの先にある町へ向かっている所だよ?コンテストが開かれている所には、必ずボクが現れるのは当然でしょ? キミこそ何で此処に?ジム制覇するんじゃなかったの?」 「ズズズ〜ズズズズッズズズ〜(ボクはそんなに可愛く言わないよZUZU)」 『そんな事言ったって〜』 必死になるものの、どうも"ルビー"らしくならない。 これでこの状況を打開できるのかと不安になるが、彼なりに頑張っているみたいだから致し方ないのだろうが。 少年の妙に可愛らしい所を、少女はふと不思議に思った。 「あっアタシは、次のジムに行くためにそこ森を抜けて行かないけんと。だから今日はあの町にば泊まろうと思うて向かっていたところよ。」 「ちゃもっ!ちゃもちゃもちゃも!」 『あっ!ごっごめん…』 必死になるものの、どうもいつものようにいかない。 会うはずのないと思っていた少年に出くわしたからだろうか。 少女のその挙動不審な所を、少年はふと不思議に思った。 その時だった。 森の中から奇妙な悲鳴のような声が聞こえたのは。 「キキーーーッ!!!」 「「…っ!」」 『なっ何?』 『今の悲鳴…何が起こったと?』 悲痛な声。 森の方で何かあったに違いなかった。 "少年"と"少女"は一瞬で何が起こったのかに気づき、その考えを確信に変えた。 「向こうだっ!」 「早くいかないとっ!」 "少年"と"少女"は頭に主が居ることも忘れて、勢いよく走り出していった。 「ズズッ!!(うわっ!!)」 「ちゃもぉ〜っ!!」 その反動の強さに手足が耐えられなくなった"二匹"は、"二人"の頭から落っこちてしまった。 地面にべしゃっという音を立てて落ちる動きは止まる。 しかし"少年"と"少女"はそのまま森の中へと走り去ってしまった。 "少年"は常日頃の四つんばいで、"少女"は両手を後ろに伸ばして膝から跳ねるように駆けていく。 「ズズズ〜!!ズズズズッズズ〜!!(こら、ZUZU〜!!何処へ行くんだよ!!)」 「ちゃもちゃもっ!!ちゃも!ちゃもちゃも〜!!(待つったいちゃも!!アタシを置いて行くんじゃなかとよ〜!!)」 『『…ん?』』 そこで"二匹"は気が付いた。 目の前を走り去っていた妙な姿であった二人に。 そして、隣に聞こえた妙な"言葉"に。 まさかという思いを抱えながら、恐る恐るそちらの方へと振り向く。 目の前にいるのは、正しくアチャモだ。 だが、さっきの"彼女"の走り方はまるでアチャモで… しかもさっきまでの会話よりも、今聞こえた"言葉"こそ彼女の言葉のようで… 目の前にいるのは、正しくミズゴロウだ。 だが、さっきの"彼"の走り方はまるでミズゴロウで… しかもさっきまでの会話よりも、今聞こえた"言葉"こそ彼の言葉のようで… 「ズズ…ズズズズ?(もしかして…サファイア?)」 「ちゃも〜…ちゃもちゃも?(もしかして…ルビーったいか?)」 またもや沈黙が走る。 今相手の言葉が分かるのは、自分が"ポケモン"になっているからで。 でも、今聞き取れた"言葉"はあの日交わした会話と酷似していたもので。 ということはもしかしてもしかしなくとも今目の前にいるのは… 「「どっ…どうなってるんだよ〜!!!?(どうなってるったい〜!!!?)」」 "二匹"の心からの叫びが森に木霊した。 …つづく? back... next... close
はい、そうです「change」しちゃったのはルビだけではなかったわけです(苦笑)
この話、ネタだけで始めちゃったので、最後どうなるか分かりません(爆笑) 次回かその次ぐらいにその"ネタ"が出てくるとは思いますが… 果てさて、ルビーとサファイアの運命やいかに…っ! |