序章 始まりの宴

朝の鮮やかな陽射し。
肌に心地良い風。
肺に流れ込む爽やかな匂い。
そしてそこに住まう沢山の生き物たち。
これは所謂、大自然というものだ。

トウカの森。

それはこのホウエン地方にある中で一番大きいと言われている森である。
その北側にはカナズミシティという近代発展を遂げた街が、東の果てにはコトキタウンという小さな村が、 森の外れにひっそりとある。
その街と村の間に、トウカシティと言われる比較的大きな町が、この広大な森の一端に存在する。
また同時に海にも近いこの場所は自然に満ち溢れ、様々な生き物が住まう楽園となっていた。
だがそれとは裏腹に、光の届かないこの森の奥深くは、 迷い込んだ者は抜け出すことが出来なくなると言われるほど深い樹海が広がっている。
そして、地元の人々ですら決してそこに近づこうとはしない。


その理由は至極簡単だ。
このホウエン地方には恐ろしい生き物たちが蔓延っている為であった。
人々は畏怖と崇拝の念を込め、それらを総称として「魔物」と呼んでいた。
それは普通の生き物と違い、自然をも凌駕する力を身につけていて、 並の人間ではとても歯が立たないからだ。
彼等の住み処は草むらを始め、森や山、海や川など様々で、所謂大自然という大きな中。
つまり、このトウカの森は魔物たちの宝庫と言ってよいのである。


勿論彼等の世界も、普通の動物たちと同じく弱肉強食。
弱いものは住み処を追いやられ、人里近くにまで降りてくる。
そして、強いものは森や海の奥深くにその位置を定める。
人々はその存在を認知し、そして恐れているからこそ、彼等との距離を保ち、 太古の昔から"彼ら"との共存を謀ってきたのだ。


だがその人々の中に、恐ろしいと言われる魔物達を操り、従える存在があった。
彼等は魔物達と同じような不思議な力を、この世に誕生した瞬間から持ち合わせていた者達だ。
それは自然の力を最大限に利用するだけではなく、魔物をも操る力であった。
故にそれは魔を支配する能力(ちから)、「魔力」と呼ばれた。
人々は唱えた。
生れつき持っているその力が彼等を魅入らせ、その配下に置くことが出来るのだと。


そういった面で恐れられている一方で、彼等はそれぞれの町や都市を魔物から守り、 生や薬草に対する豊富な知識を使い人々を病や危惧から救ってきた。
それ故彼等は今日まで多くの者に崇拝されてきたのだ。


彼等はこう呼ばれた。


魔物を制し、その魔力を使役する術を持つ者、「魔術師」と。



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以上がこの「The Wizards Of Silence」の序章です
これがこのお話の世界観なのですが、分かっていただけたでしょうか…?
いえ、実際本編を見ないと多分分からないとは思うのですが(苦笑)