神が御心を捧げた日

神が御心を捧げた日



「勝生選手、初出場でこの全日本選手権に挑む意気込みをお聞かせ下さい!」
「その強さの秘訣は何でしょうか?ハーフだと伺っていますが、もう半分の血の影響でしょうか??」
「あの“勝生選手”との血縁関係の噂の真相はどうなんですか!?」
「指導者であるコーチは一体誰なんですか?!今日も此方には来ていないんでしょうか??」

さーて…これはどうしたものかな…
西日本選手権辺りから何となく目を付けられてるような気はしてたけど、まさか会場入りする前にいきなり囲まれるとは思ってなかったんだけど。
一人で会場に向かうのはもう慣れている。
不安のある場所なら事前に調べたり、場合によっては早めに現地入りして下見したりもしてたりする。
特に今回はメディアの取材陣が僕の動向を追いかけようと躍起になり始めている情報は察知してたから、それなりに準備もしてきた。
こういう時に髪の色が地味で良かったなって思うよ。
変装の度にカツラを被らなきゃいけないのって中々に面倒くさいし。
今日は全日本選手権の2日目、男子のSPだから僕の姿のまま向かうしかない訳だけど…
これから毎回こうなるんだったら、もしかして会場入りするまで変装しなきゃいけないかな?
なんて悠長な考えを巡らせていたら、後ろから若い男性の声が聞こえてきた。
弾かれたように視線を向けた瞬間、肘を掴まれて引っ張られる。

「はーい皆様すみませーん、彼はこれから会場入りして試合に備えなければいけませんので、お引き取り願いますかー??」
「ちょっと、何ですか貴方!」
「はーいはい、皆様どいて下さーい。これ以上選手の邪魔したら、協会のお偉い方に出禁にされちゃいますよー」

声を聴く限り何処かで聞いたような気がするけど、後ろ姿だけでは誰なのか分かんないよ。
でもこれは僕を助けようとしてくれたんだよね?味方だと思っていいのかな?
自動ドアを通ってエントランスホールを抜け、関係者以外立ち入り禁止の扉を潜る。
此処までくれば中に入る許可を取っていない記者達は追いかけてこない。

背後を確認しようと振り返った彼の顔を確認すると、以前テレビで見かけたことがあるような気がする。
まぁ日常ずっとスケートとバレエにつぎ込んでるから、正直有名人とかさっぱり分からないんだけどね。
でもそんな僕でも見たことがあるとすれば、朝や夜にちらりとみているニュース番組にでも出てたのかな?
あ、首にネームプレートがある…

「ごめんね勝生君、いきなり引っ張ってきて迷惑だったかな?」

この人僕の名前知ってるんだ。
なるほどよく見たらこの人テレビ朝日の人だ、ロゴって分かりやすいよね。

「…いえ、ありがとうございます。どうやって切り抜けようかなと思っていたので助かりました、加藤さん。」
「あれ、僕の名前…知ってるの?」
「名札です、それだけ大きなのを首から下げてたら誰だって分かりますよ。」

まぁ見たのは今のほんの一瞬の間だけどね。
お陰で名前と何処の人なのかだけしか確認できなかったけど。

「入館証を持ってるという事は、関係者の方ですよね?」
「あぁ、僕はアナウンサーなんだ。今日の日本選手権の放映を担当していてね。」
「そうだったんですか。じゃあ後でまた会場でお会いしますね。」

あぁそういえば朝のニュースのフィギュアスケート特集で喋ってたアナウンサーってこの人だ。
そりゃあジュニア選手も把握してるよね。漸く合点がいって内心で頷いた。

「しかし到着早々殺到する記者も記者だけど、君も一人で会場入りするだなんて無謀だよ。
 保護者は一緒じゃないの?此処まで一体どうやって来たの?」
「付き添いの大人はいますけど…生憎コーチでも身内でもないので、今日は観客席で試合を観戦する事になって
 いて別行動を取っています。」
「え、今日もコーチ居ないって…君本当に一人で試合に臨んでるの??」

あーじゃあこの人も噂知ってるんだ…別に隠してる訳でもないんだけど。
変に伝わってないかだけ心配になるなぁ。まぁ事実は事実だし。

「勝生君の実力を見ればコーチが居るのは間違いないよね?何で君一人で試合になんか…」
「…ごめんなさい、その件に関しては何も言えません。」
「何も言えないってどういう…」
「…否定しても意味がないだろうから言いますけど、確かにコーチはいます。
 でも事情があってコーチが誰なのかは誰にも言えないんです…」

因みに隠してるのは別に契約という訳ではない。
コーチは僕の父さんなんだけど、父さんの事ひっくるめて今僕の素性がバレると色々ややこしいし僕の目的遂行にも邪魔になるから引っ込んで貰ってる。
かといってミナコ先生や真利伯母さんに迷惑掛けたくないから、会場には一人で行くようにしてるだけ。
でも今となってはこれがまずかったかなーとも思ってる…隠すことで妙に世間に話題を与えちゃってるみたいだし。
今となってはもう戻れないけど。

「……僕の記憶だと、コーチが居るって事自体も世間には言ってない事…だよね?どうして…」
「何れ問い質される事ですし、それに加藤さんは僕の事を心配してくれて言ってくれましたから。」

この人は他のスクープを求める記者と違って、さっき僕の事を思って姿の見えないコーチに怒りをぶつけてきた。
真っすぐで良い人なんだと思う。
本当の事は教える事が出来ないけど、身を案じてくれている分触れない程度の事は言っても良いんじゃないかな?
なんていう僕の気まぐれから出た言葉だ。

「しかし、勝生君のコーチは一体何を考えているんだ…仮に自分の正体を明かせないにしても、君をたった一人で
 此処に送り 込む理由ではないだろ?親御さんはどうしてるんだい?来れない事情があるの??」
「……それも、ノーコメントです。ごめんなさい。」

あー何か更に衝撃与えちゃったかな…更に目を見開いちゃってる。
親御さんだなんて冗談じゃない、片方には引っ込んでて貰わなきゃいけないし、もう片方は既にこの世にはいない。
残念だけど母の事もこんな所で言える訳がないし、それごと隠していかないと僕の計画成り立たない訳だし。
でもこのままだと掴みかかってきそうだな加藤さん…
もう少しだけ、彼を留めさせる事を言うか。

「……全部、僕の為なんです。本当の事を言えない手前説得力は何もないですけど、あの人なりに僕の事を考えた
 上での判断なんです。」
「でも…それにしても……。」

父が口止めしてる事自体は本当だ、僕の出生秘話はかなり重いし今明かすべきではないというのは父さんの意向とも一致してるし。
勿論僕自身の望みがあっての話でもあるけど。

「明かせないのは、僕がまだ無名のスケーターだからです。今はまだ、その時じゃない。」
「その時……?」
「僕がもっと強くなって、有名になる日が来たら…話せる日が来るかもしれませんね。」

僕の考えているビジョンではまだ時期尚早。
今はまだぽっと出の無名のスケーターだ、真実を言えばきっとお茶の間の話題をさらう事は出来るだろうけど今は絶対駄目だ。
此処で“あいつ等”に邪魔をされる訳にはいかない。
その為には名を広める為の時間と皆の中に刻まれるだけの結果が必要だ。
僕の言葉が、一瞬で世界に拡散されるくらいの知名度がなければ何の意味もない。

そこまで昇りつめれば、きっとあの人たちにもちゃんと僕の誓いは届くはずだ。
あの時の僕は幼くて断片的な記憶しか残っていないけど、彼らの温もりはしっかりと覚えている。
一つの決意を胸に祖国を旅立つ僕らを断腸の思いで送り出してくれた、父の嘗てのリンクメイト達とコーチの姿を思い浮かべた。
強さを世界に魅せ付けなければ、彼らを本当の意味で安心させることも出来ないんだから。
日本に帰化する時に母の戸籍の下に入って、勝生の姓を得たのもいち早く彼らに気付いて貰えるようにだ。
――海外でカツキの名がどのくらいの汎用度があるのかは知らないだろうけど、下の名前はそのままだから彼らなら直ぐにピンとくる筈だ――あ、何か加藤さん僕の言葉を違う方向に解釈してるような気がする。
別にいいんだけどね、その方が返って都合が良いし。

「加藤さん、そろそろ行かないといけないんじゃないですか?此処に集まる選手は僕だけじゃないですよ?
 早く戻った方が良いと思います、僕はもう大丈夫ですから。」

あまり長く話してるとうっかりボロを出してしまうかもしれないし、そろそろ控室に行って着替えたりアップに入らないといけないのは事実だし。
早々に僕はその場を後にすることにした。
今日は大事な日本選手権だ。
此処で優勝出来なければ、年明けの世界選手権や来年のグランプリシリーズにノミネートされる望みはない。
まだ僕はジュニア初参戦の無名の選手、地方大会の成績だけではエントリーされるような功績じゃない。
来年から世界に食い込むには金メダルが必須だ。
僕に迷ってる余裕も立ち止まってる暇もない。
ただ真っすぐに突き進むだけだ。



日本選手権では難なく表彰台の頂上に立つことが出来たけど、世界の壁は厚い。
僕の使えるジャンプではトリプルアクセルが一番単独で点を獲得できるものだ。
既に世界ジュニアの世界でトップクラスのスケーターは皆4回転ジャンプを取り入れている。
十代も後半になれば身体の成長もひと段落している子が多いから、飛ぶようになる選手が増えてくるんだ。
対して僕はまだ13歳、外国の血が入っている分他の同年代の日本人選手よりも背も高く体格も良い方だけれど、4回転は当然のようにコーチである父さんに止められた。
まぁ分かるよ、これから身長だってぐんぐん伸びるの分かってるし。
そういう時に飛び方を下手に覚えちゃうと、成長期で重心や体重の変化が著しくなった時に勝手が変わって飛べなくなっちゃう選手が凄く多い事も知ってる。
身体に掛かる負荷も強いから故障の原因にもなるしね。
だから俺が許可するまで4回転は絶対に飛んじゃダメだってヴィーチャに釘を刺されてる。

あ、僕普段は父さんの事そう呼んでるんだ。
戸籍上の話だけど、ヴィーチャはロシアのままで僕は日本に帰化してしまったから親子関係じゃなくなってるんだよね。
だから僕らは親子というより、普段はコーチと選手という関係でいる事が今は主体だからそう呼ぶようになった。
ホームリンクのアイスキャッスルはせつ以外の場所では今の所ヴィーチャとは会ってないから誰かに見られることもないし、必要ないんだけど…まぁけじめかな?
兎に角、無名とはいえ日本選手権1位になった事で無事に世界選手権に出場出来る切符は手に入れたんだけど…
4回転を飛ばずして表彰台に上るのは今のご時世難しい、誰もが分かってる。
でもだからといって諦める訳じゃないよ?
何れその表彰台の頂上は頂くつもりだけど、甘んじてメダルをおいそれと譲るつもりはない。
父さん譲りのテクニカルエレメンツの高いジャンプと、母さん譲りのプログラムコンポーネンツの高いスケーティング。
飛べるジャンプの種類が少ない分は演技後半にジャンプを集約させたり、誰もやらないようなコンビネーションジャンプを取り入れてみたり。
出来る限り工夫をしつつ、全ての完成度を極限まで高めれば、今の日本のジュニア層ならばトップに立てる要素は十分にある。
僕には偉大な両親から受け継がれた天性の才が味方してる。
今出来る最高の演技をすれば、ちょっと4回転が飛べたくらいの完成度の低いプログラムなんかには負けない、自信もある。
此処はまだ出発点だ、世界中に僕の存在を知らしめてやるんだ。

そうして僕は初の世界選手権で銅メダルを獲得した。
僕の下位の選手6位までは、皆何かしら4回転を飛んでいたけれど、僕は結果でもってねじ伏せた。
基礎点が幾ら高くたって失敗してしまえば、結果的にランクを下げた完璧なジャンプにすら負ける事だってあるんだよ?
表では花のような笑顔を浮かべながら、僕は内心自分の力を魅せ付けるように嘲笑の念を抱いていた。
僕にとっては周りの選手なんて関係なかった。
大事なのは自分の力で世界に降り立ち、その能力で世界中に僕の存在を植え付ける事だけだったから。

ジュニア時代に笑顔を振りまいていたのは、一つはヴィーチャの意向だった。
ヴィーチャは母の、勝生勇利の滑るスケートが大好きだった。
間近で見られた事は殆どなかったらしいが、残された母の映像を見ても十分に分かる事だ。
全身で奏でられる音は、軽やかで艶やかで煌めいていて、時に寂しく儚い。
身の内に沸き立つ歓喜と情熱を表現したその滑りは、観るもの全てを惹き込む力がそこにあった。
これから何れ歩むだろう茨の道。
息子が自分で決めたこととはいえ、父親としてはそんな辛い道を歩ませたくないという親心だろう。
目標を達成するのはシニアに上がってからが本番だ。
だからせめて今だけはそれを忘れ、スケートを好きだという気持ちを目一杯込めて欲しいという願いだった。
僕自身も母のスケートは大好きだったし、その思いを全身全霊で表現したいと思っていたので素直に従った。
スケートをやりたいという気持ち自体は半ば使命感に駆られて始めたところがあるけど、実際に滑ってみて楽しかった事は本当だ。
出来ることが一つ一つ増えていく度に歓喜し、母以外にも過去の名だたるスケーター達のプログラムを食い入るように見入って研究していくのもワクワクした。

だけどあの頃の僕の中には既に一つの邪念が潜んでいた。
ロシアの思惑で結果母さんが死んでしまったその事実を知って、恨みの一つや二つ誰だって持つだろう?
母の亡くなった経緯を詳しく知ったのは8歳の時。
勿論それまでも基礎練習は欠かさず、フィギュアスケーターに必要な身体作りはしていたけど、決意を殊更強くしたのはこの時だった。
幸いにも母がくれたこの身体はとても丈夫で、幼い頃から積み上げてきた体力筋力体幹作りが更に度を増した練習や訓練にも耐えうる力を授けてくれた。
より一層練習に励み、練習の鬼になった僕は確信していた。
己が真に望み、日々その為に励んでいけば世界という舞台で頂点に立ち続けるだけの力を、自分が手に出来るだろうという事を。
その為にはノービスに出る時間さえも惜しかった。
いちいち試合を意識して日々を送っていれば、移動だの試合だので時間が削がれてしまう。
日本では既定のバッヂテストさえ合格していればジュニアから参戦するのも可能だしね。
シニアからのデビューでも良かったくらいなんだけど、ジュニアから名を売らないとグランプリシリーズや世界選手権に出るには些か不利だったからジュニアデビューを目標にしたまでだ。
一分一秒でも多くの時間を練習に費やしたかった。
本当に力が必要になる、その日までに積み上げられるものは全て注ぎたかったんだ。
この身体と才能があれば父を超える世界王者になるのは夢じゃない、必ず現実に出来るって。
そしてその力で僕が日本の選手として栄光を掴み取れば、きっとあいつ等は僕ら家族にした仕打ちを後悔するに違いないってね。
始めはそんな復讐の心が目的となっていた。

でもジュニアに上がる少し前に、母の最後の滑る映像を見た時に想いは変わった。
母さんが最後に、自分が生きた証を。
己のスケート人生を刻んだプログラムを作りたいと、父さんにお願いして二人で作り上げた[Yuri on ICE]というプログラム。
この映像を撮ったのは僕を身籠る少し前らしいけど、時期的にはもう僕お腹の中に居たんじゃないかな?
そんな大事な時期にジャンプを飛ぶなんて、普通の神経ならどうかしてるって思うところだけど。
母さんは既に己の死期を悟っていたんだと思う。
僕の記憶の中には朧気過ぎて分からなくて、父さんと昔の話をした時に聞いただけだ。
僕を出産してからはもう、スポーツが出来る身体では無くなっていたこと。
僕が1歳の誕生日を迎える頃には、既に外に出歩く事が困難になっていたこと。
その時には既に身体がΩとしての機能を失いつつあったということ。
だから、あの時にしか自分でそのプロを滑る事が出来なかったのだということを…

映像の中の母さんは雄弁に語っていた。
情感あふれるスケーティング、全身で奏でられる音楽は母の人生を表す物語を紡いでいく。
初めてスケートに触れた日、楽しくてのめり込んでいった日々。
テレビの向こうにいるヴィクトルを見つけ、彼の大ファンになってしまった日。
彼と出会って恋に落ちた日。
番になれたというのいあっという間に引き離されて会えなくなった日々。
自分の姿を見ていて欲しくて、ただただ只管に滑り続けた日々。
あぁ、最後に何かが終わって生まれた…これは母さんのスケート人生と僕の事だ。

魅了されるとはこの事だと思う。
一瞬たりとも目が離せず、僕は瞬きを忘れて魅入っていた。
己の寿命もこの頃には察していた筈なのに、彼の滑りには落胆や悲しみこそあれど、後悔の二文字はなかった。
思うように振舞えなかった事も沢山あったけれど、自らが選んで歩んできたスケート人生に悔いはない。
父と出会い、愛し合えたことは己の人生にとって切っても切り離せないものだ。
だから、無かった事にはしたくない、全て受け入れての自分の運命だったんだと。
全身でその思いは表現され、観る者――この映像自体世に出すつもりはなかったらしいから、必然的に僕に向けてだった事になる――に向けてそう語りかけられていた。
僕はこの時、悟ってしまったんだ。
例え燃え荒んだ復讐心で打ち立てた誓いを叶えられたとしても、それはあくまで僕の欲を満たすだけのものにしかならない事を。
己に降り注いだ無慈悲な運命にすら微笑んだ母さんは絶対に、そんな結果を喜ばないだろう事を。
勝生勇利は人生を嘆くことなく、誰かを恨むのではなく、只管に己の愛を与える道を選んだのだから。

だからこのプログラムは僕にとって本当に特別なものになった。
僕が成し遂げる事は母さんを悲しませるものであってはならないと、教えられたんだから。
出会えたことで僕の抱いていた目標が変わった。
僕は母の愛したスケートを只管愛していこうと、それを全身全霊で表現することが母のスケートを現代に呼び戻すことになるんだと。
その思いでジュニア時代を駆け抜けていった。


そしてこの時にもう一つ出来た目的は、父さんが築いた世界選手権5連覇という記録を超える事。
最初は記録を塗り替える事で、ロシアの威信を挫く事が目的だった。
けれど今はそれも違う。
この記録はヴィーチャが涙を呑んで、母さんの命を代償に積み上げたものだ。
ヴィーチャはずっと苦しみ続けた、昔も今も。
母さんが亡くなってからは毎晩のように僕に縋りついて泣いていたんだから。
僕が居なかったら彼はあっという間に崩れていたと思うよ?
どんなに悲しくても、苦しくても、守らなければいけない存在がある。
愛する者と血を分けた子供が。
それだけがこの世に彼を留めている唯一の手綱だった。
何度も僕の存在を確かめるように抱きしめていた彼の姿を、幼いながらも鮮明に記憶していた。

番を失ったαは能力に影響はなく、また新しい番を作ることが出来る。
一体誰がそんなことを言ったんだろうって本気で思ったよ。
普通の番ならそうかもしれないけど、己の半身である運命を失って孤独に打ちひしがれない番なんていないに決まってる…!
ヴィーチャが立ち直るまでにどれだけ時間が掛かったと思ってるの?!
運命なのに一緒にいることが出来なくて、そして長い離別の結果が齎した“永遠の別れ”を強いられた二人を間近で見てきた。
きっと同じ状況に陥ったら他の番にも起こり得る事だ、今の今までこの世界は何も体制が変わってないんだから。
僕はその悲劇を二度と繰り返さないよう、世界を変えなければならない。
これは使命だと思ってる、二人の間に生まれた息子としてね。

この思いを後押しした事に、僕が10歳の時に出会った陸上界での奇跡がある。
夏のオリンピックで、100m走で三冠を勝ち取った一人の陸上選手がいた。
4年に1度の大会で3度も勝つという事は並大抵のことではない。
どんなに優秀なαであっても、このスポーツ競技に於いての選手寿命は短いからね。
前人未踏の3連覇が達成された瞬間、世界は人類史上の新たな偉業に沸いていた。

僕が知ったのはスケート業界以外にも顔の広いヴィーチャのつてで、今は必然だったようにも思う。
彼は数あるαの中でも特別な、最上級のSランクと言われるαだったらしい。
一括りにαといっても、その中にも優秀だと言われる血もあれば凡庸にも劣ると言われる差があった。
既にバース性で大きな格差が生まれている中で、そのαの質を更に問われるというのはα達の中でもかなり苦言を呈している。
だから表だってその事を口にするものはいなかったが、それでも現実的に実力差を体感することはままあった。
その中で余りに希少で、最早伝説の域であったSランクのαの存在。
最上級と言われるだけあって、他のαをもってしても力が及ばないと言われていた。
歴史上数名確認されていた――現状は血を調べて分かるものではなく生み出された結果によって証明される他が無かった為暫定的だった――が、それは単なる偶然の産物とされていた。
オリンピック3冠という偉業が達成され、また一人伝説のαが現れたと囁かれた。
だから僕も最初は“その事実”を聞いた時は耳を疑った。
彼の偉業を成し遂げたアフリカの陸上選手は、何と僕と同じ運命の番から生まれたαだったらしい。

勿論これはまだ仮定の話だ。
でも仮に運命の番から生まれてくるαが、他のαよりもより強い力を持つ存在になり得るとしたら…世界はどう変わるだろう。
近年はスポーツ業界だけでなく運命に出会える者が皆無に近いと言われている為、彼の存在だけでは証明に足りない。
ならば、同じく運命の番の間から生まれてきたこの僕が、同じようにフィギュア界の栄光を勝ち取ったらどうなるだろう。
都市伝説の域を出なかったSランクαが、運命の間から誕生するかもしれないという憶測が事実になり得れば…
世界が大きく変わるかもしれない。
どの国も最上級のαを己が国にもたらしたい、手に入れたいと考えているに違いない。
もしそれがただの偶然から生まれるものでなく、必然で生まれてくるのだとすれば…
世界にそう思わせるだけでも良い、そうすれば運命を引き剥がされる番を無くす為のキッカケになる。
ただでさえΩの数は年々減り続けていると言われているのだ、運命に出会うなんてどれだけの確率になるのか。

此処で僕が絶対的な強さを魅せ付ける事が出来れば、世界はΩの存在を安易に考えなくなるだろう。
国を挙げて、世界中がΩの保護を、番の保護を、運命を引き離さないように法を整えるところまでいけば…
そんな世界が実現すれば、もう父さんと母さんのように悲しい離別を与えられる番を無くせるに違いない。
この世界を、理を、変えることが出来るくらいの確かな功績が何よりも必要だった。
僕しかいない。
僕にしかできない、これは使命だと思ったんだ。

既に《生ける伝説リビングレジェンド》と言われた父さんも、もしかしたらSランクのαではないかと言われていたらしい。
現代の医学ではそれを調べて分かるものではないから確かめることはできない。
だけど、僕がそのヴィーチャを超えたら…それは間違いなく勝生入矢がSランクのαである事を証明する証になるでしょ?
ならば僕は何が何でもやらなければいけない。僕自身の望みを叶えるためにもね。

二人の愛の間に生まれた僕がこの父さんの記録を塗り替える事で、哀ではなく愛が奇跡を生むのだという事を世界に証明する事が出来る。
それが叶えば、長らく栄光に縛られていた父さんを…ロシアから解放することが出来る。
あの国は偉業でなくなった記録に対して執着をしない、寧ろ失敗作は要らないと言わんばかりに突き放してくる。
ヴィクトル・ニキフォロフが世界一でなくなってしまえば、きっと彼らは今まで尽くしてきた父さんですら捨てるだろう、そんな国だ。
勿論そうさせまいとあいつらは全力で僕を潰しに掛かってくるだろうけどね。
でも、負ける訳にはいかない。母さんの時のようにはいかないよ?
誰から見ても完璧な演技を魅せ付ければ、点を削る隙なんてないだろ?
口を挟む隙の無い、圧倒的な完成度の演技で捻じ伏せてあげる。
出来るのかって?違うよ、やり遂げるんだ、やらなければいけない。
負けず嫌いなのは両親譲りだからね。


僕の名前は勝生入矢。日本に帰化する前の名はイリヤ・ニキフォロフ。
僕が生まれた時、母の希望もあって日本でもロシアでも耳にするような、自分の名前と同じように両国共通の名前が良いと言ったらしい。
その中で候補に挙がって残ったのがこの名前だった。
帰化の手続きをする際に母の言葉を思い出して、父はこの字を当てたそうだ。

もしこの時に《射矢》の字を当てられていたら、何となく僕はあのまま復讐に捕らわれたまま突き進んでいたような気がする。
名は体を表すというからね、きっと射られた矢のように目標に向かって真っすぐに、よそ見もせずに飛翔していたと思うんだ。
何故《入矢》にしたのか、ジュニアの予選大会を控えた時期にヴィーチャに聞いた事があった。
未だに日本語は片言程度で――僕とはロシア語か英語でしか話さないし、勝生家とは僕かミナコ先生が通訳で間に入っているのが日常だ――当てた漢字に然程意味を見出してるように思ってなかったから。
でも何となく、この時は聞かなきゃいけない気がしてたんだ。
穏やかな表情で父さんは答えてくれた。

《入》という字は、外から内にという意味と、進む中である段階に達するとう意味。
そして間に何かが生ずる、という時にも使う。
入口を通らなければ出口には出られないし、何かを入れなければ器は満たされない。
継続して積み重ねなければ、上の段階にも入れない。という意だ。
《矢》は字のごとく弓矢の事。
それ単体では殺傷能力はなく、弓を使う事で鋭い武器に変わる。
だけど矢自体はとても脆いもので、人の手の力で簡単に折れてしまうし、鏃がなければ武器にすらなり得ない。
だがその身を強固に丈夫にしてしまえば、矢本来のしなやかさが失われてしまって弓で射る事が出来なくなる。

その説明を母さんがしていたことを父さんは覚えていた。
矢に入るという、強度の無い矢の内側に入るという言葉で、婉曲的ではあるがじっと耐え忍ぶ力を感じたと。
自分たちの息子であれば遅かれ早かれスケートの道を選ぶことになるだろう。
その時背負っているだろう物事に、決して打ちひしがれることなくただ前を向いて。
先にあるだろう未来という出口に向かっていって欲しい。
どんな状況にあろうとも己の目的を見失わず、たおやかでしとやかで精悍な姿を。
矢は1本では弱い存在だけれど、弓の力を得て初めて己の強さを発揮する。
一人では成し得ない事も手を取り合って紡ぐことによって、大きな力になる。
そんな力を持って欲しいという願いを母は込めていた。

日本語の分からないヴィーチャは未だにその意味を上手く噛み砕けないよと言っていたけれど、母さんの言葉をそのまま覚えていてくれてよかった。
僕には届いたよ、母さんが僕の名前に込めてくれた思いを。
矢は一人では決して飛べない。
弓があるからこそ武器としての本来の役目を果たす。
弓は支えてくれる周りの力だ。
家族、友人、同志、沢山の仲間の事だ。
僕は矢だ、仲間たちの力を受けて強くなる。
そんな矢に入る――中に身を置く――存在が僕なんだ。
周りからの愛を受ける事によって僕は強くなる。
しなやかに靡き、優美に、美しく飛び、舞い踊る。
強い意志で強固になり、簡単には折れない矢になる、それが勝生入矢の姿だ。
そうして強くなった僕が、世界という舞台に飛んでいくんだ。

頭では分かっていた。
そうやって静かに強さを魅せ付け、思いの丈を世界に訴える姿を父さんに望まれていたことを。
自分の存在を魅せ付け、真実を訴え、光を浴び続ける存在である事を。
きっと母さんもそうだったに違いない、だからこの名前を付けてくれたんだから。
分かってたよ。だけどそれでは僕の心が許さなかった。

僕は自分の全てを失う覚悟で、己全部を使ってでも世界に刻まなければいけなかった。
変えるのは国一つじゃない、全世界の制度を根本から覆すような衝撃を与えなければ変わる筈がない。
無謀な挑戦だろう、でもやらなければいけない。
じゃないとあの二人の悲劇がまた繰り返されてしまうんだ、この世界の何処かで。

人間というのは難解なようで至極単純だ。
歓喜よりも悲哀が、楽しい事よりも辛い事の方が後を引きずるし何時までも身の内に残るものだ。
一度深く刻まれた傷は、まるで癒えることを忘れた痕のようだ。
両親の望むように進めば、世間に移る僕の姿は哀れみや同情を寄せられる逆境の英雄として称えられるかもしれない。
でもそれでは何れ世間に忘れられてしまう。
それじゃ駄目なんだ。僕一人が英雄になるだけなら何の意味もない。
世論に対して媚びを売ったところで、一番に訴えなければいけない各国の体制にメスを入れられなければ何も変わらない。
確実に国々を動かす為には、世界を震わせるだけの大きな波を、衝撃を、痛みを起こさなければいけない。
それが僕の考えだ。

その為には…世界に対して僕を“恐ろしい存在”“畏怖の対象”として認識させなければならない。
圧倒的な力を持ち、周りの全てを捻じ伏せる。
その力の源が憎しみだろうが博愛だろうが、そんな事は世界にとってはどうでもいい事なんだ。
身の内に危険が迫るかどうか、己の地位を揺さぶられないかどうか、国の威厳を損なわないかどうか。
保身に走る必要性を感じさせることが出来れば、過程なんて所詮無かった事のようになるものだし。
要は僕を怖がって、警戒して、その目に真実と一緒に焼き付けてくれれば万々歳だ。

演じるなんて簡単だ、だってその醜い感情だって僕の中に実際に生まれたものなんだから。
ただそれをわざとらしく全面に押し出した、ただそれだけ。
僕には強い支えがある。 長谷津にいる家族、恋人、友人、ロシアの仲間たち、そしてヴィーチャ…母さんだって僕の中に居る。
決して揺るがない意思と決意がある、誓いを己の芯に打ち立てた。
僕の振る舞いでどんなに世間から狂気の存在だと云われ、復讐に駆られた悪魔だと罵られようが謗られようが構うもんか。
逆にそれくらいに思ってくれれば、絶対僕の事を無視したり忘れたりする事なんて出来ないでしょ?
それこそが僕の思惑だ、大いに騒いでくれたらいい。
それで世界が変わるなら安いもんだよ。
だからシニアに上がるのを契機に、僕は自分の立てた計画を実行した。
あぁ…後でヴィーチャにきっと叱られるだろうなぁ…なんて思いながら。



シニアの初戦で赴いたアメリカ大会、予想通りというか予想以上というか…
僕の変貌ぶりに周りが慄いていた。
僕としては今までがどちらかというと作り笑顔だったというか、わざと華やかさを演じていた節があるから…今の方が地に近いんだけどな。
まぁいつもよりちょーっと不愛想で…いや、大分暗かったかな?
全く笑顔を張り付けないっていうのも中々に疲れるなって思ったけど、役に入ってしまえば何てことはない。
割と演技派だな僕ってば。

「入矢君!!」
「……あぁ、加藤さん。お久しぶりです。」

あーそうだよね、加藤さんも来てるよねグランプリシリーズだもん。
他の記者は余り面識ないから抵抗ないんだけど、彼は優しい人だからちょっと気が引けるなぁ。
なんて内心思いながら鉄面皮を張り付ける僕。

「ビックリしたんだよ…イメージチェンジにしては随分と変えすぎというか…
 さっきもファンの子たちの呼びかけに全く応じなかったし、あれじゃ皆心配して、」
「心配?何のです?ファンサービスなんてあってもなくても僕が変わるわけじゃないでしょう?
 声援なんかなくったって、僕は十分戦える…」
「……入矢君?本当にどうしたんだい?君はそんな事を言う子じゃなかったのに。」

これはまたショックを与えちゃってるなぁ…ごめんね加藤さん、悪気はないんだけどでもこれが僕のシナリオだからさ?
悪いけど心無い事を言う僕を許してね?

「…そんな子?僕が本当はどういう人間だったかなんて、誰も知らないでしょう?
 何を根拠にそんなことが言えるんです?」
「……入矢、くん…?」
「もう、偽るのは止めたんです。漸くこの舞台に立てた…後は結果が付いてくればいい。
 それで僕の目的は成就する。」
「目的……?」

偽ってるつもりはないけど、でも本心を隠して誇張してる辺りこれも実の所本当ではないかもしれないね。
でも“真実を告げる”には色々と段取りが必要なんだ。
あぁでもこのまま何も言わないで行っちゃうと、こんなに心配してくれてる加藤さんに悪いもんなぁ…
ちょっとだけ、他の人には言わないヒントを置いていこうかな。

「加藤さんには色々お世話になってるから、一つだけ教えてあげます。
 このグランプリシリーズの成績次第で、僕からコーチに打診しようと思っている事があります。
 もうそろそろ、良いんじゃないかなと思ってね。」
「…そろそろって、一体何を…」
「それは、まだ秘密です。」

表向きは僕が自分の出生を含めた真実を告げる為の交渉になる。
けど本当の打診は、ヴィーチャの一番望まない形で世界に僕の存在を認めさせる為の演出を許可して貰う事。
だって大事な一人息子を復讐の鬼だって思われたくないもんね、どんな理由を付けたって印象が良い訳がないし。
でも僕は押し通すつもりだけどね。
これは僕の人生であり、僕が自分の存在を掛けてやり遂げなければならないと思っている事があるんだ。
父親相手だからって譲れない事くらいあるんだからね。
その点は説き伏せるつもりだ。

僕の本心は全て、スケートで魅せ付ける。
表面上は悪役を演じ続けるけど、両親のスケートを汚すつもりは毛頭ない。
身体が奏でる音は雄弁だ、何が本心かなんて見る人が見れば全て伝わる。
それだけの表現力は培ってきたつもりだよ、だって貴方たちが教えてくれたんだから。
“僕”を決して無くす訳じゃない。
最大の目的を達成する為に世界の目を欺く必要があるからやるだけだ。
大丈夫だよヴィーチャ、勝生入矢は何処までいっても貴方たちの息子だからね。



『僕の目的は2つある!
 一つは、母が!勝生勇利が本来手にする筈だったメダルを!栄光を!母の母国である日本に返す事!!
 僕が身をもって証明する!母が素晴らしいスケーターであった事を!!
 母が滑ってきた数々のプログラムを、僕が最高の仕上がりで再現していく!!』

シニアに上がってから、僕はその季のプログラムの何れかに今まで母さんが滑ってきたプログラムを滑ろうと決めていた。
特に不当に評価されたプログラムに関しては気合を入れるつもりだ。
もう二度と卑下なんてさせない、彼が奏でてきた音楽のようなスケートはこんなものじゃない。
映像で母のスケーティングは目を皿のようにして何百回何千回と見てきたからね。
僕が再現する、母以上の仕上がりを以て世界に魅せ付けるつもりだ。

『そしてもう一つは、僕の父が己の祖国の為に築き上げた偉業を、この手で塗り替えることだ!!
 僕はこれからどんな事があっても勝ち続ける!!
 今日が最初のスタートだ…年明けに開催される世界選手権、此処から僕の復讐が始まる…!!
 母の命を犠牲にして築かれた、父の世界選手権5連覇の壁は、僕が破る!!!』

世界選手権連覇を課せられ、焦がれた番に会う事も話す事も禁じられ、只管孤高に戦い続けたヴィーチャ。
貴方の辛い過去は全部僕が消してあげる。
僕がその記録を塗り替えれば、もう貴方はロシアに縛られる必要はないんだから。
勇利を忘れたくないからと、幼い僕に母のいない孤独を強いる事を謝りながら、他の番を求めなかった貴方はこれ以上ない悲劇を背負っていた。
子供ながらにその姿が余りに悲しくて、毎晩のように僕に縋り泣いていた貴方を必死に抱きしめながらいっぱい考えたんだ。
失ってしまったものは戻らないけれど、これ以上の悲しみを生み出さないだけの力が欲しい。
どうすれば手に入れらるのか、考えに考えて僕はこの道を選んだんだ。
父親の存在を乗り越える事で子は一人前になるものだからね。
もう、僕からも解放されて良いんだよって言ってあげたい。
独りでも僕が戦えるって思ってもらいたかったのも、この演出には込められてるんだよ?
気付いてくれるかな。


我儘な息子でごめんなさい。
でも僕は自分の信念通り、必ずやり遂げてみせるよ。
全身全霊、己の全てを掛けて、例え世間に対して悪役になったって構わない。
自分の力で一つ一つ功績を上げて、この残酷な世界を造り替えてやる。
そしてもう二度と、貴方たちのように涙を流す番が生まれない世界を生み出すよ。
だから悲しまないで、これは僕自身の為でもあるんだから。
僕は自分の存在意義を此処に見出したからこそ、今まで自分を追い込んできたんだから。


さぁ、新たな伝説を創りに行こうか。



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発端である「神が生まれた日」を読んだだけでは分からない裏事情というか、入矢の本当の思いを書き殴ったものです。
設定を構築した段階で本当この話書き続けるのが辛かった…勇利君本当にごめんって思いながら(苦笑)
このお話はヴィク勇の息子が主人公で、両親の不運な別れをキッカケに二度と番が引き離されない世界を創るっていう夢を現実にしていこうとする子の物語です。
思ってた以上に世界観がデカ過ぎて、この後大変苦労をしたっていうオチが←