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「つっかまえた〜。」
暗闇の中、突如背後に現れた気配。 慌てて避けようと身体を捻ったのだが、時既に遅し。 あっという間にその長い両腕に捕らえられてしまった。 不覚だ。 今度こそは逃げ切れると思ったのに… どうやら油断した隙を狙われてしまったらしい。 飛び掛れた時に首元を強く締められてしまったので、前につんのめった瞬間に呼吸が出来なくなり、大きく噎せてしまった。 その姿を見て、背後に居た人物はごめんごめんと言って首元に絡めていた手を外した。 ようやく自由になった身体を抱きしめるように、葉はつっかえた喉元と痛む腹にに手を当てて必死で呼吸を整えようとした。 大丈夫かい?と言いながら、ハオは弟の背中を軽く撫でてやった。 そんな問いかけをしてくる兄を、葉はキッと睨み付けた。 何でいっつもいっつもオイラばっかり…っ!!何で勝てねぇんだ?!! 「そりゃ葉の修業がまだまだ足りないからだよ。」 ハオは自分の長い髪を掻き揚げながら、葉の姿勢に合わせた身体を持ち上げた。 マントの間から覗くスラリとした肢体は引き締まっていて、とてもじゃないが十五に満たない者の身体付きではない。 どんな鍛え方をしたらそんな風になるのか、一度じっくりと聞いてみたいものだ。 …ていうかまた人の心読みやがったな? 「オメェ、少しは手加減ていうもの知らねぇのかよ。」 マジで呼吸止まるかと思ったぞ。 そうやって悪態を吐いてみるが、言われた本人はただきょとんとした顔をしただけだった。 一体僕が何したのかなぁ〜? そう考えてるに違いない。 あぁあぁ、忘れてたよ。 コイツがそういうヤツだって事をな。 大仰に頭を抱えたくなったが、まだやっと呼吸が戻ってきた所で上手く身体が動かなかった葉は、ただため息を付くしかなかった。 いつから始まったんだっけ。 多分シャーマンファイトの為にこの無人島にやってきた頃からだったか。 アンナの言い付けで、夜中に島中を走り回る修業を始めたその直後だ。 ノルマ達成の為に一生懸命走っていたオイラの前に、ヤツが現れた。 汗だくになって息を切らしているオイラに、コイツはこんな声を掛けてきやがったんだ。 「どうしたのさ、そんなにクタクタになって。……あっ、もしかしてアンナの修業かい?」 一体誰の為のだと思ってやがんだコイツ。 元はと言えばオメェのせいだろうが。 …いや、それはちょっと違うか。 コイツはオイラの通過点なんだっけ? でもそんなコト言ったら、何してくるか分かんねぇからな… 「僕が一体何するって?」 「……えっ?」 今コイツ何て言った…?オイラ何も言ってないのに…… 「…あれ?もしかして誰かから聞いてなかったの?僕の霊視の事。」 霊視……?霊視って………あぁ、アンナのと同じアレか…… 「……ってうぇぇぇぇええええ?!!!オメェも心読めんのかよ!!!」 「…その様子だと知らなかったみたいだね。麻倉め、僕に関するそれくらいの基礎知識くらい持たせておけよな。」 いや、問題視するのそこじゃないと思うぞ? ……つかそうじゃなくって! 「何でオメェが此処に居るんだよ!!こんな夜中にうろつきやがって…」 オメェの命狙ってるヤツがどれだけ居るのか知ってるのかよ。 「へぇ〜僕の事心配してくれてるんだぁ〜」 「んなっ…っ!!!何言って……っ」 「大丈夫だよ。あんな奴ら、僕の足元にも及ばないんだから。」 あんな奴らって、もしかしてX−LOWSとかガンダーラとかも入ってんじゃねぇだろうな…? いや、コイツの事だ。 十分ありえるぞ? 「それより、お前の方こそ一人で何うろついてるのさ。夜中の一人歩きは危険だろ?」 「あっ?そんなのオメェには関係ないだろ?」 「大アリさ、大事な半身がどこぞの馬の骨とも知れない奴らに襲われたらどうするのさ?」 「襲われる?!!何でそうなるんだよ!!!」 「憎きハオの片割れ…」 その低く響いた言葉に、オイラは一瞬背筋が凍るかと思った。 ハオが抱えている思いっていうんかな? それを感じたって言うか…そんな感じだった。 「……たったそれだけの理由で、お前の命を狙う輩が居ないとは限らないからね。」 何処か寂しそうな…ハオのその顔を見て、オイラ何だか切なくなっちまったんだ。 ヤメロよ、そんな顔するなって… オイラ、お前を倒す為に修業してるんだぞ? 「…うん、そうだよね。全部僕が撒いた種だしね。今更文句は言えないか。」 そういってハオはハハッと軽い笑い声を出した。 その細められた目に、オイラはどんな風に映ってるんかな? 「じゃあさ、僕が修業手伝ってあげるよ。」 そうすれば、僕はお前にそれなりの償いは出来るし、ちゃんと守ってやれるから、一石二鳥だろ? ハオは良い事を思いついたという風に、晴れやかにそんな事を言いやがった。 ちょっと待てよ、オイラはお前の敵なんじゃなかったのか? 「ん〜確かに敵って言えばそうなんだろうけど…でも、僕はお前に強くなってもらわないと困るしねぇ〜」 だから、一石三鳥だろ?別にいいじゃないか。 目の前の男はそんなちっちぇぇこと気にするなよっていう風にオイラに言った。 そんな簡単でいいのかよとこっちが頭抱えたくなっちまうじゃんか。 「……んで?修業って一体何するんよ?オイラ今体力付けろってアンナに言われてんだぞ?」 「ん、だからね?鬼ごっこ。」 「………はっ?鬼ごっこ?」 「そっ、鬼ごっこ。」 何でこの期に及んで修業が鬼ごっこなんよ? その真意が分からんかったオイラは、首をかしげるしかなかった。 確かに逃げたり追いかけたりしとけば走り回るから体力つくだろうけどさ… 「言っとくけど、ただの鬼ごっこじゃないよ?巫力も沢山コントロールしなきゃいけないんだから。」 「うぇ?どういうことだ?」 「結論から先に言うよ?僕が鬼、お前が逃げる役。僕はお前の巫力を頼りに、お前の後を追う。 だから、葉は僕から逃げながら自分の巫力最小限に抑え、僕に対して罠を仕掛けるんだ。」 見事僕を騙して一発食らわせたらお前の勝ち、僕に捕まったらお前の負け。 どう?簡単だろ? その契約が全ての始まりだったんよ。 「まぁ、それはともかく。また僕の勝ちだね?どうするの?10連敗中の麻倉葉君?」 「〜〜〜〜っ!」 ニヤニヤと微笑みながら嫌らしい声で話しかけてくる兄を、弟は恨めしそうに睨みつける。 あの日からこうやって何度も鬼ごっこをしているものの、未だ葉はハオに勝つことが出来なかった。 流石年の功というべきか…――といっても、肉体的には全く同じ年なのだが―― ハオは葉が必死になって仕掛けた罠 いくら葉がユルユルしているとはいえ、流石に此処までコケにされてしまっては負けじと反抗してしまう。 何より、負けた方は勝った方のいう事を一つ聞くという制約にも原因はあった。 ハオ曰く、お前の為に付き合ってやるんだから、僕にもそれなりに功労賞をくれよとのことだ。 まぁ、それもそうだよなぁ〜と承諾してしまったのが運のつき。 毎度毎度彼の好きにされてしまう羽目になってしまった。 今じゃそれが日常になりつつあるのは、悲しいかな。 「ん〜じゃあ今夜は何してもらおっかな〜♪」 「〜〜〜っ!!また変なこと言うんじゃねぇだろうな!?」 「変なことって何さ?……あっ、アレかい?僕のモノのご奉仕しろとか、馬乗りになってヤって見せてとかいうのかい?」 「〜〜〜〜〜っ!!!言うなーーーー!!!!!」 「そっかそっか〜葉はそういうのが好きなんだ〜vvじゃあ今夜も可愛がってあげるからね☆」 「って人の話を聞けーーー!!!!」 …哀れな葉の運命やいかに!! fin. close
あっちゃ〜;;また長くなりそうだったからって急いだら、微妙なギャグっぽくなっちった(笑)
(というか明らかに末尾が下ネタジャマイカwww) こんな中途半端なもの書くなよな〜自分(苦笑) やっぱりマンキンはハマった最初の方でこんな感じの2人を見てしまった為か、 話の構成とかに悩むとこっちに走ってしまうな;; |